→POETRY 04←

《憫笑》

引き攣った笑顔を
こちらへ向けないで
社交辞令はもう充分
媚び諂いたいなら
他の誰かにやりなさい
巫戯蹴るのなら
私以外でやりなさい
あんまりに執拗いと
私は貴方を殴るから

偽善にあふれた微笑を
二度とこちらへ向けないで
正義面はもう充分
愛想を振りまくなら
そこに跪いて土下座なさい
騙すのならば
舌が乾くまで喋り続けて
あんまりに生温いなら
私は貴方を殺すわよ

=2002/03/15=

《傾眠》

薄れる意識の中は
頼りない足場の霧中のようで
喜びと慄きが同居しているような
感覚に苛まれる
自分が信用できなくて
原形留めぬよう
破壊するのだろうか
誤解するのだろうか
問いかけるばかりが
正しい事とは
限らないだろうに

このまま眠れば現実は失くなるのか?

遠のいていくのは昔の記憶
退いていくのは艶やかな日々
色に囲まれた世界は
いつの日か私から消えていき
モノトーンに包まれて
安堵の息を吐く
いくら華やかであろうとも
色が溢れすぎた現世は辛すぎて
霞んだ視界を酷く欲する
生々しい原色は
私の目を潰すのだ

=2002/03/15=

《寂寥》

ふと消えてしまいそうな意識の中
私が思うのは貴方一人
莫迦げたことと思えるけれど
脳裏に浮かぶ言葉の羅列

叶うはずの無い願い

呆とした頭で
呆とした考えしか浮かばずに
明滅する視界の片隅には
やはり影が左右する

けれどまだ想うのか

瞼を閉じれば闇
耳を澄ませれば囁き
身を任せれば朽ちて
足を踏み入れれば泥沼

矢張りこの身は報われぬだろう

=2002/03/11=

《渇望》

死人たちの思いを背負って
ずっと歩いてきた
もうそろそろ休みたいと思うけれど
私はまだ彼等に取り込まれたくなくて

ひたすらに歩き続けている

疲れても腰を下ろせず
渇しても水は切れている
まだまだ先は遠くて
どんどん重みは増えていく

これは償いだろう

死にきれなかった私が
死にたくなかった彼らに対する
唯一の償い
最後の贖い

視界が揺れて体が傾く

重力に逆らう事の出来ない身体は
呆気なく地面に倒れる
実に呆気なく
私は倒れる

起き上がる力は使い果たしている

蜃気楼が由良由良と
死人の思いが怨怨と
ああ そうか
これは全て私の業

=2002/03/11=

《瓦解》

音無く崩れたがらくたの山
無駄に積まれた瓦礫と欠片
埃まみれの霞んだ視界
私も塵芥のひとつと理解(し)った

夢・幻と解っていたなら
其処から醒めねば良かった

私はこうして一人きりで
脚は棒のように固まったままで
動きたくても動けなくて
誰かを呼ぶにも
声はかすれていた

夢・幻と解っていたなら
どうして起きてしまったのか

曇り空は陽光を通さず
吹き荒ぶ風は雨雲を呼ぶ
植物などは
とうに枯れてしまったこの場所で
これからどうして生きていけようか?

夢・幻と解っていたなら
せめてこの目は潰したかった

=2002/03/10=

《媚態》

あァ、どうして
どうしてこんなにも
こんなにも貴方を。

言えないのは
言えないのは
意気地のない私。

落ちつくことのない視界は
この世界のすべてを支配しなければ
物足りないと呟くのだろう。

いつも いつだって どんなときも

想いを言にしてしまうには
あまりにも無口すぎた。
だからまだ独りで。

独りで背負いこんだ
目を覆いたくなる程の重荷は
重荷はまだ心の奥。

=2002/03/06=

《嬰児》

何故にこの手は離れない?
何故にこの手を離さない?

呆とした感覚を振り払いたいのか
手で 腕で
目の前を掻き乱す
虚空を薙いでいる

何故にこの手は離れない?
何故にこの手を離さない?

静けさに侵されて
暗闇を忌み嫌い
陽光を好むは
己の影すら禍禍しいと

何故にこの手は離れない?
何故にこの手を離さない?

誰がこの手を離さない?

=2002/02/02=

《瞑捜》

貴方もまた私を置いて
何処へ行ってしまうのでしょう?

貴方がいなければこの場所は
揺らぎ続けて崩れてしまう

貴方は其処で
何をしていらっしゃる?

踏み出そうと上げた足で
向こう側へ行かないで

私は一人で何も出来なくて
混乱してしまう

視線を逸らすばかりで
その分裂した思考で
最悪の事を考えるだけで
自分が何の役にもなれない事に気がついて

絶望が・混沌が・後悔が

私を叫ばせて
精神を蝕んで
無意味に空だけを見つめさせる

吐き気がして
耐え難い頭痛が
幽幽とした意識下は
正常な判断など出来るはずも無い

嗚呼、貴方は何処に
何処にいらっしゃるの?

=2002/01/15=

《決別》

もう ここへ戻らないと
私は知っているから
目を見開いて
貴方の骸を 焼いた
ゆらゆらと形を変えながら
それでも確実に熱を帯びて
面影を残さぬよう
躯は燃える

貴方は還っていく
私の知らない場所へ

思い出の写真も何もかも
粉々に砕いて 引き裂いて
火にくべた
貴方との過去はこうも簡単に
消えていく
貴方が此処にいた証は
無い
残るのは燃えかすと私の記憶

けれど私は忘れる
過去にしかならぬ貴方のことなど

=2001/11/12=

《孤高》

誰にも見られないように
誰にも聞こえないように
一人 吼えて
静けさを消す

その眼に捉えるは
その瞳で捉えるは
光 黒く仄かな光
心を埋められる前に灼く

己が獣を解き放つとき

戦いに身を投じて
噎ぶような血の飛沫を
顔に受けて
悪鬼のごとき

その足で駆けて行き
その手で掴むものは
緩やかに昏く 径
赤く滴るその臓腑

ただ一人 立ち誇る

=2001/11/09=

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