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《虚構と現実》

君に伝えられたら
屹度樂に為れるだろう

君に届けられたら
どれだけ樂に為れるだろう

其れだけは選べない

君は離れていく
僕の知らぬ場所へと

君は逃げていく
追う事すら出来ぬまま

其れは縛めの様

これ以上嘘を吐けと
真実を知りたい君に嘘を
忌まわしく

ならば敢えて
敢えて嘘塗れ

偽りを己に
嘘は真に

自由は求めない
答えすら求めない

傍に居る事を願い
嘘は増える

虚構と現実

=2002/06/26=

《閾下》

永遠は要らない
変化も要らない
生きる望みも
死ぬ覚悟も

日常が欲しい
平穏が欲しい
ただ過ぎていく
時間だけが苦痛

救われる人間じゃない
此処に居る価値もない
なのに君は
如何して助けてしまった?

この生命は僕のもの
この生命は君のもの
権利は無い
義務だけで存在を

意味は無く
彼岸へは往けない
如何して君は
僕を生かしたままなのか

=2002/06/26=

《倖福論》

多分 倖せだったのだろう
多分 平穏だったのだろう

待ちくたびれて
己と向き合ううちに
あらぬ心に気付いて
降り懸かる絶望と加重
背負わねばならず
見なければならない
足元に転がる嬰児を
棄てきれぬうちは
目の前で死に急ぐ
人を助ける限り
背負わねばなるまい
見なければいけない

今は思う
あの頃の無邪気さを
今は思う
あの頃の儚さ

多分 倖せだったのだろう
多分 倖せだったのだ

=2002/06/25=

《倖福論》

なにもしらなかったころは
ほんとうになにもしらないので
むりにりかいすることもなく
しぜんにすごせばよかったので
ばかだろうといわれてもそれは
とてもしあわせだったとおもいます

だんだんといろんなものを見て
いろんなことを聞いて
いろんな人と出あうようになって
ぼくはいろんなことを知りました
きみからみればほんの少しでしょうが
かしこくなったのだと思います

君のつぶやきのいみを
少しずつだけど分かるようになって
たまに悲しくなったり
うれしくなったりもして
たぶん 幸せだったのでしょう

あなたの悲しみを共感できるようになり
あなたの嘆きを苦しく思うようになり
確かにケッペキショウのあなたには
生きることすら苦痛だったのでしょう
あなたは安易に死んでしまいました
ぼくを残して死んでしまいました
どうして ぼくが死にたくないと
かん違いしたのでしょうか

薄汚れた中に居過ぎて
僕自身も汚れてしまったのでしょうか
段々 何も思わなくなって自分の心に
嫌気が差したりもします
もう慣れてしまったのでしょう
大分慣れてしまったのでしょう
僕はもう貴女の所には逝けません
死ぬまで一人きりなのでしょう
否 死んでからも一人なのでしょう

昔 幸せだと思えた全てが
偽りだと切り捨ててしまえる己が
何もかもが薄っぺらで
無意味らしくて
如何仕様も無いのでしょうね
大切な物だって在りません
それでもまだ 死ねないのです
柵が多すぎて

死ねないのです

=2002/06/25=

《籠中》

現実を見失えるほど器用じゃない
だからいつまでも俯いていて
何も見ようとしないけど
無意味に映る澱んだ世界

澄みきったものはすべて偽りなのか

塞ぎ込むほど追い詰められてない
捨てきれるほど簡単なものじゃない
自ら手放した希望
それでも渇望する期待

一体自分でも何をしているか判らない

戻りたいと言ったのは誰だったろう
私はとても厭なのに
戻りたくはない
戻りようがない

無邪気さゆえの残酷さを

知りたくもなかったし
今更知られたくもない
消してしまえるのなら
思う存分消去してしまうだろう

忘れたいと願っても無駄だろうけれど

時が経つにつれて
鮮明さは次第に薄れていき
けれどもわだかまりだけは
確実に残る

=2002/06/23=

《流露》

誰も入れない空白
記憶には存在しない虚無
ありえない現実を
夢想して誤魔化そう
閉じられた扉
君と僕以外は入れないよう
内側から施錠してしまおう
例え此処から出られなくとも
僕は逆に安堵するだろう
閉鎖的な幸福
ネガティヴな欲望
僕の一部を
君に枷せて
抜けられない迷路を
彷徨い歩く
果てまで行ったら
堕ちてしまおう
朽ちても構わない
底無しの沼に沈んでいく

=2002/06/20=

《boundary》

誰にも理解されたくない
誰にも触れさせやしない
誰にも言いたくはない
誰にも邪魔させない

この位置で甘んじている事を
誰もが知っている
この位置で苦しんでいる事は
誰も知らない
この位置から動けない事は
誰もが知っている
この位置を憎んでいる事は
誰も知らない

助けなくていい
誰も助けを求めてない
逃げなくていい
どうせ僕は動けない
誰の為にあるのではなく
誰が為にあるわけでもなく
合理性も実用性も
理屈ばかりで役に立たない
言葉で誤魔化せば
言葉は流れていく

誰にも理解されたくない
誰にも触れさせやしない
誰にも言いたくはない
誰にも壊させやしない

=2002/06/20=

《うたわねば》

うたわねば
かれてしまうだろう
いまここにこそ
いまこのことばこそ

うたわねば

かたらねば
とぎれてしまう
わたしがかたらねば
もうだれもしらない

うたわねば

かんそうする
かたりべのろうどく
がらがらごえを
へやのなかにひびかせる

うたわねば

うたわねば
わたしすらわすれてしまう
うたわねば
きれぎれのことばでも

うたわねば

=2002/06/17=

《水面》

君の歩みがあんまりに
遅いものだから
僕は意地悪に
先へ行く
気が付いたら
その姿を見失い
僕は一人で立ち竦む
一人じゃあ
どうしていいか
分からない

君の歩みがあんまりに
遅いものだから
僕は苦笑して
先に行く
気が付いたら
向こう側に招かれてる
君の姿に声を失う

一人で
生きるのは
こんなにも辛いこと

=2002/06/07=

《水面》

見届ける事しか出来ない
私は見ることしかできない
ねぇ どうして?
私の居る場所はまだ遠い
ねぇ どうして?
私の手は届かない
少しだけ立ち止まって
そうしたら私は貴方に追いつく
少しだけ振り返って
そうしたら私は貴方に抱きつく

見届ける事しか出来ない
私が手を出すことは叶わない
ねぇ どうして?
貴方の姿が遠くなる
ねぇ どうして?
私の足は動かない

=2002/06/07=

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