終わりが無い故に
永遠を拒み
始まらぬ未来を
未だ夢見る
御伽噺を
未だ夢見る
涙は雫となり
滲みた土に時を与える
血は滴るばかりで
この想いの如く
貴方を汚す
御覧なさいな
風に狂う姿
御聞きなさいよ
雨の呟きを
我儘な世界は
貴方を慕うばかりで
その爪痕を
省みることもしない
自堕落な幻想ばかり見るのは
溢れ出す欲望から
逃げるためでしょう
停滞は愚かな願望
変化を望まぬなら
その先を壊せばいい

時　既に遅く
閉じられた瞼は
二度と開くことはない
眠っているのかと
何度
揺すったことだろう
時　既に遅く
冷たい屍が
私の前にある

起きてくれと
何度頼んだことか
気違いと
気狂いと
誰の声も届かない
幾ら罵られようと
目の前には
冷たい骸
時　既に遅く
間に合わなかった私は
絶望を見る

白と黒とで鯨幕
閉ざされた棺は
もはや貴方のもの
安らかな顔に化粧
虚ろな眼に
意味は無く
時　既に遅く
指先に触れる
青白の肌
時　既に遅く
生きた証は
全て消えた

踏み躙られた希望は
砂を纏い
棘の中で
血を流すだろう
やがて希望は
泥に塗れて
誰も助けてくれぬから
絶望へと身を堕とす

昇華されない未来への期待
道を塞ぐ現実が
眼を覚ませと浴びせる罵声
やがて未来は現実となって
重すぎる過去を
背にくくる

光を求めてた頃
私は光の中に居て
求めるものが既にあると
気付かぬほどに浮かれていた
今はもう光を直視できるほど
子供でもなく
純粋でもない

貴方の知ってる
昔の私は
どうしようもないほど
我儘だったね

貴方の知ってる
昔の私は
甘えてばかりの
子供だったね

けれど歳月が流れて
貴方の知らない間に
聞き分けのいい大人に
なってしまったの

変わらないねと
貴方は言ったのだけど
私は変わってしまったの
こんなにも

現実という世界は
私に安定を与えてくれるけど
歳月と共に失くしてしまった
夢までは取り戻せない

変わらないねと
貴方は言ったわ
だけど変わらないものなんて
この世界の何処にあるの

貴方の知ってる
昔の私は
もう此処にはいないわ
そして何処にもいないの

吐き気がして
考えがまとまらず
文字すらも崩れて
全てが瓦解する

混乱が

混濁した圧迫が
私の背中を押し
無理やりに私を
歩ませようとする
肩越しに覗く手は
あまりに異様で
それを人だと判断するには
難しすぎる
誰だ
誰なんだ
私を突き落とそうとする
この手は

死にたくも
死ねずに
彷徨う愚かさ
情念と
恨み言のみ
呟いて
私を呪い
そして殺すか
誰を
如何して
分かるものか

死にたくも
死せずに今
苦しみに
悩まされても
首を絞め
茫洋と
遠のくしか
意識ごと
意識ごと
誰が殺すか
殺してくれるか

私を
私を

誰が殺すか

いつだって
後悔している
いつだって
嘆いている
どうすればいいのか
分からないから
ここで止まっているの

首を
絞められてるように
息ができなくって
こんなにも
辛い
辛いのに

私を見ないでほしい
ただ　それだけのことだ
私を見ないでほしい
ただ　それだけのことだ

腹を割かれても
首を絞められても

苦しいことには変わらなくて
死ぬのは怖いから
たぶん私は謝るだろう

呑み込む前に
吐き出してしまうだろう

逝くのは怖いから
私は厭がり続けるだろう

飲み干す前に
息途絶えて

戸惑う　躊躇う

悲しくなるのは
余計なことを
考えるから

惨めになるのは
虚勢を張ってるから

目を向いて
暗闇を見るがいい

一人で居たいけど
独りは怖い

貴方さえ
貴方さえ
居なければ

此處まで
此處まで
苦しまずに
悲しまずに
嘆きさえ

そのまた向う
向こう側
向こう側に

落ちて
堕ちて

愛することも
戸惑うことも

知らずに生き
知らずに逝き

すれ違う人――
――すれ違う人
振り返りもせず

後悔は
後悔は

貴方さえ
貴方さえ
居なければ

居なければ

鎖された筈の
絶対領域に
何の躊躇いも無く
入り込む

止してくれ
如何して君は
僕の名を呼ぶ？

頑なに拒んでた
深奥の影を
光も無しで
覗き見る

止してくれ
如何して君は
僕に縋る？

開き放たれた
どす黒い衝動
気付かずに
見過ごしたかった

止めてくれ
その一押しは
余りにも愚かな選択

これ以上近付くなよ
これ以上冒してくれるな
制止の言葉は
役に立たないと言うのか？