離脱　してしまえば
貴方はもう追えやしない

自白　してしまえば
貴方はもう終えるしかない

見慣れた
崖から
欠片が
乱れた

丸まって寝転がれば
集まって死に損なう

飛び出した手足は
もぎ取った身体を

埋める
傷跡
捨てる
ゴミ箱
くべる
薪と
茹でる
有様

失くしてしまいたいものを
いつまでも抱きかかえ
同じ言葉を繰り返しながら
フェンスを乗り越えていく
もう子供じゃないと
だけれど大人にもなりきれず
狭間というような物々しさに
半端者だとまだ言いそびれてる

置いてきぼりにした嬰児
置いてきぼりにされた女
置き忘れたふりするのは
いつもいつでも私と貴方

取り戻したいものを
いつまでも悔やんでいて
同じ愚痴をこぼしながら
廃棄物を喰んでいる
もう終わったことだと
けれどそこから一歩も踏み出せず
儚さと狂おしさ
あからさまなイカサマ

バラバラに崩した後は
もう一度組み直して
完成する最後のピースを
放り投げて満足する

未完成が美しいなら
完璧なんて求められない

足下に転がる赤ん坊が
欠片たちを呑み込んでいく
隙間無く埋まっていた景色も
無機物なパズルへと変わる

言葉で済むのなら行為はいらない
０・１で区切られたデジタル信号
角張ったノイズに逃げることも出来ず
アナログの揺らぎを思い出す

走り出せば追いかけてくる
逃げ出せば閉じこめられる
夢見れば現実を
遠く近くと私を囲い

ステップを止めれば死んでしまうのか
泳がねば死んでしまう魚みたいに
喋繰り倒さねば息絶えてしまうのか
羽根を摺り合わせるだけの秋虫みたく

流れっぱなしの私の足に
咎めるよう絡みつく葛
引き止めるなと叫んでも
植物に理性など無く
ただただ無作為に伸びていく

流木なんかじゃないと
思ったところで
どんな違いがあるのだろう
流れるだけならば
どちらでも構わないのではないか

ずるずると
引き摺るように
勢いを増す流れに
押されても
捉えて放さない

逆さまの視界
入れ替わるのはどちらか
片足だけが支えられた今
踏むべき地面がないのなら
いっそ空に落ちるべきか

葛に縋りついて
命乞いを繰り返す
惨めな生き方を歩む
妥協ばかりを繰り返し
それでもまだ思考を孕む

その吐き出した思いは
外に飛び出したがゆえに

誰が誓ったか
誰と交わしたか

叶わぬくらいなら
願わねば良いものの
届かぬわけならば
留まるのも躊躇った
失うくらいなら
最初から持て余してなどいない

指から漏れている
しとどに濡れている

抱かねば良かったのだろうさ
突き放せば良かったのだろう
半端な情は互いに傷つくだけ
二度と重なることもない先の道

謝れど既に壊れ
剥離した意味を泣く

膨れ上がるのは嘘だけじゃない

脚に絡み付いているのに
振り払おうとしない
蹴り飛ばそうともしない
どうするのかなんて分からない
ただ悲しい音だけが響いて
そのわざとらしさが
癇に障る

膨れ上がるのは建前の後ろ

胸骨を巻き込んだ
引きずり込もうとする影に
怒りを顕わにして振り上げた拳
無駄だと分かっていたことなのに
ただ侘しい音だけが響いて
そのわざとらしさに
奇声を上げる

ゆらゆらと　膨れ上がる　フレア

足を掬い
腕を掴み
腰を抱いて
指を折る

膝を砕き
背を軋ませ
肘を捩って
首を薙ぐ

こえもなく
いわもなく
おともなく
あっけなく

口を裂き
耳をもぎ
眼を穿ち
鼻を潰す

胃を抉り
肺に穴
喉から漏れる
切れ切れの叫び

そのみにからむ
おもいのはしばし
そのみをゆがめる
おごりのつるくさ

この身を這う
気持ち悪さに
助けを求めた
その声さえ閉ざされた
喉の奥底
肺の中
血管と絡み合う
緑色の蔦

花は咲いて空を向く
足下なんて見るな

嫌いだと言われても
嫌いだと罵られても
嫌いだと殴られても
嫌いだと蹴られても

仕方ないよ
嫌いなんだろ？

誰も見なくていい
誰も知らなくていい
誰もが気に留めない
誰もが無視していく

慣れてるから
憐れむな

嫌いだと頭ごなし
嫌いだと嘲り笑い
嫌いだと手を上げて
嫌いだと踏み潰す

大丈夫だよ
平気だよ

触るなと言って
喋るなと言って
動くなと言って
見るなと言って

本音を押し隠す
本音をひた隠す