→POETRY 12←

《anima》

痛みを覚えるほどの、夢

快楽を伴えば既に逃れる術も無く
理性の隙間に何を孕むか
何を望むか
垣間見える幻は禍々しくも抗いがたく

烏滸がましいと思うなら

動くことさえ許されぬ
喋ることなど以ての外
制止の言葉が届くならば
戻れぬ立場になるものかと

憎らしい

悦楽と隣り合わせの歪ゆえ
理解に苦しむほどならば
どこまでも
果てを探し彷徨うほどにも

もどかしい

=2004/03/22=

《animus》

ガラス越しの景色
逆さまの背景
歪められた様相

自分を見る
彼女を見る
己を見る
貴方を見る

弱音を吐いて
力無く跪き
言い訳だけが理路整然と並び
慄然とした己はどこかへ追いやられてしまう

女々しさ
猛々しくあるはずもなく
優柔不断
選べるはずもない

鏡越しの姿
反転する視界
掴まれた後ろ髪

=2004/03/21=

《embrace》

痛みよりも慰めが欲しい
嘆きよりも偽りを求め
ただ愛でられるだけの存在よりも
いっそ憎まれたほうが楽だと答えた

爪の先に触れる皮膚
薄い傷は赤く残り
鬱血した青白い肌

言葉よりも抱きしめてほしい
理屈よりも態度が欲しい
臆病なだけと笑われても構わないから
その細い手で殺してほしい

=2004/03/14=

《illuminate》

眩いばかりの光に誤魔化されて
立ち往生
足も竦むような地響きは
貴方の臆病

まだ眠らないうちに
目覚めることを考えてる
暁も夕暮れも
赤光に遮られては見えもしない

足は藻に埋まり
水に浸かり
沈んでいくことも知らず
夢ばかり見る

ただ醒めるだけの感覚を
どう捉えればよいのか
掴み損ねた痛覚だけが
斜光に歪められて肌を刺す

=2004/03/10=

《innocence》

純粋な答えを探すうちに
そんなものが有り得ないと知る
どうしようもない問いこそが
答えへの断片で
混乱するうちに
全部消されてしまう

破損していく言葉だけでなく
破綻していく私自身すら
客観的に見続けたために
元に戻れなくなってしまった

正しさに裏付けされた過ちさえ
少し離れた場所に立てば
たちまちに歪みを生む

願いが我が儘へと姿を変え

震えているだけだった
臆病さを自覚するだけだった
背後のない薄ら寒さ

破壊するだけでは飽きたらず
間違いだけでは理由にならず
教唆されることに苛立ちながら
狭量さを認めることを躊躇う

泥濘の居心地に身を委ねたまま
澄みきっていることに恐れを覚え
好奇心というにはあまりに愚かしい
誤りにすら気付かず
澱んだ己の中にこそ
純粋な答えがあることを知らない

=2004/03/04=

《Routine》

晴れすぎる空の前に思わず足を止めてしまう
一歩踏み出せば境界からはみ出してしまうと
勝手な考えで引きこもることに安堵している
限りなく正解に近い誤答で言い訳を繰り返し
先へ進むことを躊躇ったまま動こうとしない

外に出れば何かを見るから
見知らぬものに怯えたまま
バランスを崩して座り込み
未だこの場所で笑い続ける

悪循環

ひとりでは立ち上がれない
ドアは閉じて鍵まで閉めて
窒息するような閉鎖空間で
寝転がり丸まって息を吐く

毎日毎日同じような言葉だけを呟いて終わる
誰にも聞かれない独り言を自分だけが聞いて
嘲りも罵りもベクトルを己に向けて傷を増し
下らない妄想に想像という創造で逃げている

=2004/02/29=

《odd》

留めるくらいなら
止めてしまえばよいものを
半端に強いるから
離れてしまうのに

廃れていくのを食い止めるなら
その身すら犠牲にすることを躊躇ってはいけない

腐れることすら覚悟しつつ
もぎとれた足を抱えて歩け
其処に在ることを生きる糧と
言いきるほどの覚悟であれば

委ねてしまうのを許さじと憤る貴方は
その言葉と葬られるのを享受しなければならない

=2004/02/29=

《reluctance》

その胸に過ぎるのは
違えようのない事実
頂とも見えた未来は
偽りだと知る

遠い言葉に耳を傾け
眼前を薙ぐ風には気付いてはいない
どの嘆きも夢だと思いこむのなら
いつかしら逆しまに映るのみ

この道は正しいか
この腕は現実か
水晶体に照らされた虚像に
まだ騙されているのではないか

己を許すことは如何様にも出来るくせ
他人に許されることは屈辱だと感じうる
さながらに選ばれた侮蔑の眼差しは
哀れみの視線にも変えようか

底辺を浮く緑藻よりも不要であり
其処を行く獣よりも畜生ならば
地に這い蹲ったまま
何処までも自身を貶めるのだろう

=2004/02/16=

《sted》

それなりに生きている
それなりに藻掻いている

何のために生きている
誰のために生きている

答えなんか知るはずもない

言わなくてもいい
聞かなくてもいい

知らなくてもいい
ここに居るだけでいい

心地よさに執着して
何処へも行けなくて
何処へも行かなくて
これ見よがしに廃れていく

=2004/02/13=

《zapping》

どれもが正しいと言い切れない
どれが間違ってるなど分かりはしない
そもそも何が起こってるか
それすらも理解せず生きている

散漫に
ただ緩慢に

どこからどこまでが境界線で
踏み出してはならないラインなのか
差し出した四肢をもぎ取られてしまうのは
いつになるのか

平行線
それゆえに出会わない

変わることが出来ないなら
変える努力すら出し惜しんでるだけ
絶えず晒されたこの身ならば
耐えることなど容易かろうに

=2004/02/12=

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