→百 91〜100←

《happiness》

愛を重ねる毎に
この身は孤独に晒されていく
それでもまだ温もりに縋りたいのなら
甘ったるい幸福論も思い出も捨てればいい

何も語れぬまま
何も語らぬまま
遠ざけることを別れというのなら
あんまりに勝手すぎる

言葉には本音が見えないことも
建前で隠そうとしていることも
全部嘘だと見抜かれてなお
偽りだと打ち明けない弱さ

これ以上のものを望むのならば
この手に携えたものを全て
捨てなければならないとしても
貴方だけは立ち止まらないでくれ

=2004/03/24=

《aimlessly》

何のためにココに居るのか
誰のためにココに居るのか
何ゆえにココに居るのか
ココに居ることに意味はあるのか?

目的なんていらないさ
何も何にもいらないよ
欲しい物だってないし
やりたいことだってないさ

何のために居るのかなんて
もう忘れてしまって
どうしてこんなことしてるかなんてのも
思い出せなくて

思い出したくもない

=2003/10/19=

《clavicle》

その道を辿るには
まだ幼すぎるのだと
声は笑う
その道を歩くには
足下が覚束無いと
声は笑う

優しくもない調べに
高いだけの音程
絶叫にも似た歌声は
誰にも届かぬまま
消えるだろう

貝殻骨から直接響く
半円形の器官を壊し
震えて伝う気道からは
風穴だけが正しくて
口の端を通る波音は
鎖骨へと促される

癇に障る嘆息を棄て
頭蓋の夢に反響し
悲鳴に目を覚ませば
どうどうと
流れていく

=2004/02/17=

《nape》

鈍色の空は遠く
近く
そして遠く

際の見極めの
憤りすら
岩の如く揺るぎなく

瀬を伝う脚は
いつやらか背を駈け
背に掛かる
畝に足を絡め

錆色の海は深く
浅く
底見えぬ揺ら

胸を
腹を
骨を
痛みが駆け

腕を
喉を
肉を
うなじを

喰らい尽くせば

瑠璃色の夢は深く
沈み
そして浅はかにも

=2004/01/05=

《coquettish》

素通りする言葉を身に纏い
見えもしない業を背負う
立ちふさがる夢を薙いだなら
半端な現実を踏みつぶす

しなだれた身体を払い
つながれた歪みを孕む

憤りすら溜息に呑まれ
意味通り伝わらない
離れていく後ろ姿に
幻想に縋る愚かしさ

もどかしく剥がされた身体に
嗄れた声で叫びをあげる

=2004/03/10=

《seductive》

ともすれば窒息してしまいそうなほどの湿度
息を吐くにも少しばかり乱れてしまうほどの暖気

深く深く夢の中
知らずとも生きるなら

閉めきった空間
満たされた水にその身を委ね

要らずと棄てた身体さえ
根ざす妬気まで巻き込むまで

冷えきった身体を埋めるのはぬるま湯
水滴がそこらの壁にしがみついて

延々と続く連声と
駸々と唱う誓言と

ふくれあがる湯気に目を瞑り
意識せぬ間にずぶりと沈む

=2004/02/19=

《hide》

失ってから気付くのだと
それならば始めから抱かなければ
何も持たず、ただそこに居るだけで
いや、むしろその場所にすら留まらず
ひたすらに逃げ続ける

逃げて逃げて逃げて

それでもなお思い募るのだとすれば
やはり縋っているのだろうか
傍にいたから寄り添った
ずっと傍にいた
何故だろう
今更に考える

どちらともなく立ち上がり
どちらともなく違う道
合わせていた背から熱は消え
ふるりと震えながら歩き出す
片足ずつ踏み出して
そろそろと静かな音を立てて離れていく

=2004/02/13=

《despise》

誰の視線すら逸れていき
屈折率を上げすぎて見えなくなる
誰の意見すら聞き入れず
静寂の波に溶け込むまでも

歪んでいく鏡面を
垣間見るだけでは分からない
映るもの全てが
同じに見えてしまう

誰にも捕まるまいと逃げ
誰にも囚われまいと避け
哀れと嗤われてしまうことを
貴方に知られまいとしている私

閉じこめたまま
離そうとしない
織りこめたまま
剥がそうとしない
祈り込めたまま
抗おうとするまい

頼るものをふりほどいて
泣けぬままにただ歩いて
慰めるのを僻みに思い
廻るだけの侮蔑に沈む

=2004/02/05=

《vulgar》

口汚く罵りあう
意地汚く奪い合う
満たされないのを分かっていながら
癒せないことに腹を立てている

どれもこれも等しく
どれもこれも下らない

落としてしまえば砕けてしまう
落としてしまえば壊れてしまう
降ろしてしまえば楽になれる
犯してしまった罪さえなくなる

=2004/02/13=

《incompatibility》

意味の有無だけで考えると
その行為には全くの意味はない
だけど意味の無さには
それなりに何か他のものが
パテで穴埋めするように
詰まっているものなのだと思う

戯れ言
言葉遊び
堅苦しい意味を求める方が失礼だ

無知であることの弱さ
無私であることの際どさ
無恥であることの強さ
無辜であるなど誰が分かるか
それを理解しない限り
先に進むことは許されない

繰り言
単語合わせ
難解な意味など役には立たない

=2003/12/16=

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