見逃してしまった
手放してしまった

アタシのハネ

還らない
戻らない

アタシのツバサ

引きちぎられた
手足同然の
その羽根は
その翼は

苦しみを与える為の
悲しみを与える為の

与えられた
奪われた

アタシのハネと

取りこぼした砂は
私へと繋がる糸
立ちふさがる壁は
私を守る為の夢

永久に続くと思えたのは　まやかし

あけた穴は
二度と埋まらずに
閉ざす瞼は
遙かなる夢路

永遠に続くと思えたのは　いつわり

耳を塞ぐ
目を覆う
鼻を潰し
口を縫う

狂ってる
そりゃそうさ
狂ってる
私は狂ってる

腕をもぎ
脚を絡め
首を千切り
胸を抉る

狂ってる
狂ってるって
そりゃそうさ
私は全てを壊したい

あなたを愛する
わたしが愛する
愛ってなにかしら
どうかしら

あなたに愛を
わたしから愛を
愛ばかり
上っ面の言葉だけ

愛することで満たされる？
愛しなければどうなるの？
わたしはなにを
あなたになにを

愛する？
愛せる？

何を
誰を
今更

流れるだけの
零れるだけの
ココロで

愛してるって
何？

隙間の中に居場所を見つけて、どうしようかと君に問う。
けれど君は何も答えなくて、表情すらも変えなくて。
ならどうすればいいのだろうとまた一人で考える。
考えて、考えて、思い当たった答えは正しいのだろうかと首をひねる。
ねえ、どうなんだろう。
君に問いかけても君は答えない。
相変わらず話もしない。
どうして君はいつだってそうなんだろう。
こうして考える間に隙間はだんだん細くなって、今はもう1m。
入らないと無くなってしまう。
答えてくれよ、いい加減。
君の答えを僕は待つ。
隙間の中に居場所を見つけて、どうすればいいのか戸惑いながら。
僕は君を盗み見て、けれども君は僕を見ない。
一人なんて厭だというから一緒にいるのに僕はとうとう見つけてしまった。
僕の居るべき、居なければならない場所。
隙間は僕を包むように徐々に呑み込んでしまうだろう。
今という隙間。
過ぎて今はもう50cm。
君はどうして何も言わない？
もう隙間が消えるからその前に僕は中に入る。
君を置いて中に入る。
優柔不断の僕が決めた答え。
依存する僕の答え。
答えは君を捨てること。
答えは君が捨てること。
僕は微笑む。
君に微笑む。
僕は僕の居場所を見つけて。
僕は君の鎖を解いた。
隙間が迫る。
僕に迫る。
残りはもう30cm。
息途絶える前、君との会話。
何も言わない君との会話。
壁に押されて僕は悶える。
僕は藻掻く。
僕は叫ぶ。
意識が朦朧としてなんとなく先が見えて。
全てを理解した。だから

サヨナラ、僕。

首を絞めようと
自分では死ねないね
どうしても苦しくて
力を弱めてしまうから
血管を圧迫すれば
早いのだけど
手の位置がずれて
気道を絞めるから
うん
それは意味の無いこと

手首を切るくらいじゃ
死ねないことは分かってる
よっぽど深く
よっぽど酷く
切り裂いてしまわないと
動脈じゃないから
表面の静脈を切っても
中途半端すぎて
意識途絶える前に
誰かに止められる
うん
意味無いことは分かってる

誰かに頼むなんて
馬鹿みたいだ
迷惑かけてばかり
それじゃ駄目なんだ
偶然を待つなんて
馬鹿みたいだ
時間が足りないんだ
どうにかならないかな

うん
分かってる
意味の無いこと
代償の大きさ
デメリット
不平等
うん
分かってる

分かってるってば

私の前に私が居る

私の前に私が在る

私の前の私を押し

私の前の私を刺す

どうなる？

変わる？

何か

どうにもならない

変わらない

何も

どれも

私ですら

私の前の私

じゃあそれは

私じゃない

音に呑み込まれ
音に引っ張られ
音に捕まって

音

声

言葉

どれだか分からないけど
囚われているのは確か

音に縛られ
音に拘り
音に

音

声

言葉

耳を押さえても届く　音

音ばかりが漏れる
何をどうすればよいのかしら
腕を抱えるように

か・カ・身体・だ・から・からだ・カラだ・からダ・カ・らだ

壊れてないよ
流されてるだけ
指から漏れる水

カワイテ・いる・なにｗ・watashi・漏レル

縊れる腕と
足と
首と

流して　全て

だましとおすことはできない
それほどうそをつきなれてない
ないないづくし
ぜんぶうそだらけ

ほんとうのことをいえない
くちからことばがでない
ないないづくし
こえはかれた

くるしい
かなしい
わびしい
むなしい？

ないないづくし
ぜんぶうそだとしたら
ほんとうのことになって
さかさまのせかい